放送事業を超えた収益構造の確立と不動産価値の顕在化
フジ・メディア・ホールディングスの株価が上昇している背景には、放送事業という枠組みを超えた収益構造への転換がある。
長らく民放キー局はテレビ離れや広告収入の減退という逆風にさらされてきたが、フジテレビはアニメーションを中心としたコンテンツ事業や不動産事業で安定した利益を叩き出している。
特に「ワンピース」や「ちびまる子ちゃん」といった強力なIP(知的財産)を活用した海外展開やライセンス収入が、収益の柱として強固になっている。
PBR1倍割れ改善に向けた積極的な株主還元策
市場が最も敏感に反応したのは、フジ・メディア・ホールディングスが打ち出した資本効率の改善策である。
東京証券取引所が要請する「PBR1倍割れ」の状態を解消するため、フジ・メディア・ホールディングスは配当性向の引き上げや自己株買いを積極的に実施している。
投資家の間では、フジ・メディア・ホールディングスが保有する莫大な含み益を持つ不動産資産や、他社の株式といった政策保有株の整理が進むことへの期待が非常に高い。
配信ビジネスの黒字化とデジタル戦略の加速
動画配信サービス「FOD」の好調も株価を支える要因となっている。
これまでは制作費の先行投資が先行していたデジタル部門だが、有料会員数の増加と広告付き無料配信(TVerなど)の浸透により、収益化のフェーズに入っている。
地上波での放送とデジタル配信を組み合わせた「ハイブリッド型」の展開が成功し、若年層へのリーチを維持できている点が評価されている。
観光需要の回復と都市開発事業の貢献
フジ・メディア・ホールディングスが展開する都市開発・観光事業の回復も著しい。
お台場エリアを中心とした観光客の戻りや、傘下のサンケイビルによるオフィスビル開発・物流施設への投資が着実に利益を生んでいる。
放送という景気変動の影響を受けやすい事業だけでなく、不動産という安定したキャッシュフローを生むセクターを併せ持っていることが、現在の不透明な経済状況下で安心感を与えている。
外部環境の変化とアクティビストの視線
投資ファンドやアクティビストが日本の放送局の資産価値に注目し始めている点も無視できない。
フジ・メディア・ホールディングスは時価総額に対して保有資産が極めて大きく、割安感が際立っている。
経営陣がこうした外部からのプレッシャーを認識し、企業価値向上に向けた具体的なロードマップを提示し始めたことが、機関投資家の買いを呼び込むトリガーとなった。
フジテレビの株価に関する市場の反応
PBRが低すぎる状態が続いていたので、ようやく資産価値が評価され始めた印象がある。配当利回りも良くなってきたので、長期保有の選択肢に入るようになった。
アニメや映画のヒットが続いているのが大きい。地上波の視聴率だけを見てフジテレビを判断するのはもう古いと感じる。
お台場の不動産価値やサンケイビルの収益力を考えると、まだ株価は割安圏内ではないか。株主還元への姿勢が変わったのが一番の買い材料。
これまでは資産を溜め込んでいるイメージがあったが、自社株買いを発表してから風向きが変わった。経営の効率化が進むことを期待している。
ネットフリックスなどの外資勢に押されていたが、日本独自のコンテンツ力が見直されている。FODの独自路線も成功しており、成長余地を感じる。
